車にとってのギボシ端子ダブルは、二又になったギボシ端子の事。本来であれば、分岐した端子から電源を複数確保できる効果を持ちます。
ただそれには【かしめ】という工程が必要で、自分でギボシ端子を取り付ける場合には誰しも通る道です。
しかし初心者。特に慣れていない方には厄介で、間違った知識のままかしめると接触不良や配線から端子が抜けるなど失敗のリスクもあります。
実際に私も初めて作業で使った際には何度か失敗しました。ですが、正しいやり方を身に着ける事で接触不良などの不備は防ぐことができます。

今回はそんなギボシ端子ダブルをかしめるやり方をまとめてみました。後半では注意点も解説しているので参考にしてみてください。
✅ギボシ端子ダブルのかしめ方
✅かしめる上で注意すること
※今回の記事以外にもギボシ端子ダブルの知識をつけたい。こんな方向けに【ギボシ端子ダブル(3307)の知識”よくある悩み(疑問)や解決策・作業まとめ”】でまとめているので参考にしてみてください。
ギボシ端子ダブルを使う場合は【かしめ】作業が必須!
先ほども言ったように、ギボシ端子ダブルは
分岐が複数出来る半面で単体では使用できない。
作業で使う場合には【かしめ】という工程が必要です。かしめは簡単に言えば端子と配線をつなげる事で、固定した配線(剥き出しの銅線部分)が端子に接触する事で電源側から流れた電気が導通する。
つまり電源⇒配線⇒ギボシ端子ダブル⇒電装品という流れで伝わるわけです。
そのためかしめる工程は配線から電装品間に電気を通す上で重要となりますが、間違った方法で実践すると接触不良や電装品が作動しない原因を作ります。
特に初心者にありがちなことで
・振動で抜ける
・同線とうまくつなげていない
など。失敗するリスクが高いです。
逆に今回のやり方を理解しておくことで、次回取り付けが必要になった際にリスクを減らしてかしめる事ができます。

やり方自体も5分程度で終わるので、これからの参考にしてみてください。
実際にギボシ端子ダブルをかしめてみよう
ここからは実際にギボシ端子ダブルの
かしめ方を確認していきましょう。
配線コードを穴で挟んで被覆だけ引っこ抜く
剥いた状態の配線をよじる
端子をかしめる
スリーブをかぶせて完成
配線の被覆を剥く
準備が出来たら配線の被覆を剥くことから始めましょう。
電工ペンチのワイヤーストリッパー部分を使い、
ギボシ端子ダブルをつける配線の被覆をはずします。
・右側のsq表記は配線コードのサイズを表します。
つまり配線が0.5sqだった場合は
0.5の穴に通せばいい訳です。


配線コードを穴で挟んで被覆だけ引っこ抜く
被膜の剥き方は簡単で、配線コードを穴で
挟んで被覆だけ上に引っこ抜くだけ。
グリップを握った状態で引っ張れば簡単に抜くことができます。
剥いた状態の配線をよじる
被膜を剥くことが出来たら、内部の芯線(電気が通る道)をよじってまとめておきます。
よじり方は時計回りもしくは反時計回りにくるくると回すだけ。こうする事で端子をはめ込む際にスムーズに取り付けができます。
端子をかしめる
端子にはめ込む事が出来たら、ギボシ端子セット ダブル(3307)を用意して画像のようにセットしましょう。
・奥のツメは被膜を剥いた配線の上から。
かしめる事で接触不良を防止する事ができます。きれいに固定するコツは初めに軽く圧着して1ランク下の穴でもう1度圧着する事。

スリーブをかぶせて完成
後はかしめ後に上からスリーブをかぶせて作業は完了となります。
これなら初心者でも簡単にできる
のではないでしょうか?

ちなみに作業ってどのくらいで出来るの?

作業自体はここまでやって5分かからないくらいかな。慣れていれば1~2分程度で出来るね。
初めのうちは時間よりも正しい手順を実践して覚えていけばいいでしょう。
合わせて知っておきたい!ギボシ端子ダブルを【かしめる】上で注意する事
ここからはギボシ端子ダブルを【かしめる】上で注意する事について。
先にかしめの流れをお伝えしましたが、その中で
失敗しない為に注意する点をまとめてみました。
内容は
・銅線が端子部分に接触するように
・奥までしっかりかしめる
3つの事です。
『正しく使えてるか不安だ…』
『いまいち使い方がよくわからない…』
こんな思いがある方は是非、かしめ作業と一緒に
注意事項についても目を通してみてください。
かしめる前に被膜をしっかり剥く
まず1つ目は被膜をしっかり剥く事。
被膜は配線の銅線を覆っているカバーの事で、被膜を剥く作業は電気を伝わりやすくするために必要不可欠な事です。
この工程が例えば
・銅線も一緒に切ってしまい数本しか残らない
どちらか一方でもなってしまった場合、接触不良で電装品が作動しない原因を作ります。
なのでしっかりと剥けているか
確認する事が大切です。
かしめる際は銅線が端子部分に接触するように
2つ目はかしめる際は銅線が端子部分に接触するように。
特に慣れていない初心者の方にありがちなんですが、画像のようにかしめ部分と銅線が接触しない状態で挟み込む方が割と多いです。

接触してる部分あるし大丈夫でしょ。
こう考える方もいますが、この場合は接触はしていてもバラつきがある事で接触不良の原因を作ります。

もし正しくかしめたい場合は、②手前を被膜に。①奥側を銅線に合わせた上でかしめるのが正確です。
かしめる場合は奥までしっかりと
3つ目はかしめる場合。これもまた多いのですが、2つの基準をクリアしていても最後のかしめがあまい為に失敗するケースがあります。
この図が成り立つので、接触不良はもちろんの事。最悪の場合は、抜けた配線が例えばボディーアースと接触した日にはショート又は火災の原因を作ります。
便利な道具でも使い方を間違えれば大惨事になるので、正しく使って大いに作業に活用してください。
ギボシ端子ダブルをかしめればこんな活用法も!
ここからはギボシ端子ダブルを使った活用法について。
ギボシ端子は基本が太線に対応したパーツですが…
別のパーツと組み合わせる事で細線に変換する事も可能となります。
基本的に細線(0.2)と太線(0.5)は繋ぐ事ができない
本来配線というのは、太さによって流せる
電気の許容量が決まっています。
許容電流=安全に流せる電気の量

許容電流を無視して繋げるとどうなるの?

結論を言うと配線が発火する危険性が出てくるね。
何故なら細線と太線は耐えられる許容電流が違うから。
たとえるなら、家のブレーカーをイメージするとわかりやすいのではないでしょうか?ブレーカーと言えば家電を使いすぎると代わりにおちて家電を保護するもの。
家電にも決められた許容量が決められており、
ここまでの電気なら流しても安全ですよという意味。
それ以上の電気(過電流)が流れると耐えられなくなる。
ですが、ヒューズが切れたあとは保護しきれないので結果的に太さの合わない配線は発火の原因になります。
詳しくは【車の配線に流せる電流容量の限界と電流値(アンペア)を求める計算式】を参考にしてみましょう。

接続コネクターを活用すれば細線と太線でもつなぐ事ができる

ならどうすればいいの?

答えは簡単で、接続コネクター(3328)を活用する事だね。
接続コネクター3328は0.2~0.5sqまで対応のパーツで、画像のように細線と太線でもつなぐ事ができます。
・ドライブレコーダーなど。
細線を使用している電装品は意外と少なくないのでこんな時に役立てると便利。また、接続コネクターにすることで接触不良のリスクを減らすことにもつながります。
このようにうまく活用する事で、カスタムの幅が広がるので役立たせてみましょう。
また、実例を使った作業方法については【車の配線を0.2⇒0.5Sqに変換して電装品を作動させる配線のつなぎ方】で紹介しているので合わせて読んでみてください。
かしめの手順を理解して作業に役立てよう
以上、ギボシ端子ダブル(3307)の付け方とかしめるまでの手順をご紹介しました。
今回の記事のおさらいです。
注意点②かしめる際は銅線が端子部分に接触するように
注意点③かしめる場合は奥までしっかりと
配線の被膜を剥く
配線コードを穴で挟んで被覆だけ引っこ抜く
剥いた状態の配線をよじる
端子をかしめる
スリーブをかぶせて完成
・接続コネクターを活用すれば細線と太線でもつなぐ事ができる
ギボシ端子ダブルは通常のギボシ端子とは違い、メス側が2又になっているのが特徴の端子。電装品の補助として活用する事で流れる電気を2つに分岐する事ができます。

ただそれにはかしめの工程が必須!かしめることができなければそもそもカスタムに使うことはできないので、正しいやり方を覚えてこれからに活かしてみてください。
よくある質問
Q.端子のかしめ作業は初心者でもできますか?
A.はい、手順通りにやれば誰でもかしめることができます。
Q.電工ペンチがない場合は他の工具でもいいですか?
A. いいえ、電工ペンチは専用工具なのでそれ以外はおすすめしません。詳しくは【端子のかしめに適当な工具はダメ”電工ペンチが最適な2つの理由と正しいかしめ方”】を参考に。