車にとっての防水ギボシ端子は、防水仕様になったギボシ端子の事。本来であれば、雨に濡れやすい箇所でも水の侵入を防ぐ効果を持ちます。
ただそれには【かしめ】という工程が必要で、自分で防水ギボシ端子を取り付ける場合には誰しも通る道です。
しかし初心者。特に慣れていない方には厄介で、間違った知識のままかしめると接触不良や配線から端子が抜けるなど失敗のリスクもあります。
実際に私も初めて作業で使った際には何度か失敗しました。ですが、正しいやり方を身に着ける事で接触不良などの不備は防ぐことができます。

今回はそんな防水ギボシ端子をかしめるやり方をまとめてみました。後半では注意点も解説しているので参考にしてみてください。
✅防水ギボシ端子のかしめ方
✅かしめる上で注意すること
防水ギボシ端子を使う場合は【かしめ】作業が必須!
先ほども言ったように、防水ギボシ端子は雨に
濡れやすい箇所で役立つ半面で単体では使用できない。
作業で使う場合には【かしめ】という工程が必要です。かしめは簡単に言えば端子と配線をつなげる事で、固定した配線(剥き出しの銅線部分)が端子に接触する事で電源側から流れた電気が導通する。
そのためかしめる工程は配線から電装品間に電気を通す上で重要となりますが、間違った方法で実践すると接触不良や電装品が作動しない原因を作ります。
特に初心者にありがちなことで
・振動で抜ける
・同線とうまくつなげていない
など。失敗するリスクが高いです。
逆に今回のやり方を理解しておくことで、次回取り付けが必要になった際にリスクを減らしてかしめる事ができます。

やり方自体も5分程度で終わるので、これからの参考にしてみてください。
防水ギボシ端子のかしめ方を確認しよう
ここからは実際に防水ギボシ端子の
かしめ方を確認していきましょう。
配線コードを穴で挟んで被覆だけ引っこ抜く
端子をかしめる
スリーブを差し込む
スリーブをかぶせて完成
配線の被膜を剥く
まず電工ペンチと配線(0.5)を準備。電工ペンチのワイヤーストリッパー部分を使いギボシ端子をつける配線の被覆をはずします。
・右側のsq表記は配線コードのサイズ
つまり配線が0.5sqだった場合は
0.5の穴に通せばいい訳です。
配線コードを穴で挟んで被覆だけ引っこ抜く
電工ペンチのグリップを握った状態で矢印方向に引っ張るだけ。
被膜を剥くことが出来たら、内部の芯線(電気が通る道)をよじってまとめておきます。こうする事で端子をはめ込む際にスムーズに取り付けができます。
端子をかしめる
被膜の剥きが出来たら防水ギボシ3343を準備。
端子にはめ込む事が出来たら画像のようにセットしましょう。
手前のツメは被膜に。奥のツメは被膜を剥いた配線の上からかしめる事で接触不良を防止する事ができます。
きれいに固定するコツは、初めに軽く圧着し
1ランク下の穴でもう1度圧着する事です。
スリーブを差し込む
かしめ作業が終わったらスリーブを差し込んでいきます。配線を通す場合は、細い穴から配線を通す。その時に通せる配線の穴は0.5~0.85Sqまでです。
0.5以下の細線は配線自体は通りますが、
ギボシとつなげる事ができないので細線は使えません。
逆に0.85以上の太さはスリーブの穴に
入らないので同じく使えません。
スリーブをかぶせて完成
最後スリーブをかぶせる。カバーは画像のように奥まで差し込めば完了です。
このように正しい手順でつなぐ事ができれば水が浸入することなく取り付けができます。
作業自体もここまでやって5分かからないくらい。もちろん慣れてくれば1~2分ほどで出来るようになりますが、初めのうちは正しい手順を実践して覚えていけばいいでしょう。
合わせて知っておきたい!防水ギボシ端子を【かしめる】上で注意する事
ここからは防水ギボシ端子を【かしめる】上で注意する事について。
先にかしめの流れをお伝えしましたが、その中で
失敗しない為に注意する点をまとめてみました。
内容は
・銅線が端子部分に接触するように
・奥までしっかりかしめる
3つの事です。
『正しく使えてるか不安だ…』
『いまいち使い方がよくわからない…』
こんな思いがある方は是非、かしめ作業と一緒に
注意事項についても目を通してみてください。
かしめる前に被膜をしっかり剥く
まず1つ目は被膜をしっかり剥く事。
被膜は配線の銅線を覆っているカバーの事で、被膜を剥く作業は電気を伝わりやすくするために必要不可欠な事です。
この工程が例えば
・銅線も一緒に切ってしまい数本しか残らない
どちらか一方でもなってしまった場合、接触不良で電装品が作動しない原因を作ります。
なのでしっかりと剥けているか
確認する事が大切です。
かしめる際は銅線が端子部分に接触するように
2つ目はかしめる際は銅線が端子部分に接触するように。
特に慣れていない初心者の方にありがちですが、画像(ダメな例)のようにかしめ部分と銅線が接触しない状態で挟み込む方が割と多いです。

接触してる部分あるし大丈夫でしょ。
こう考える方もいますが、この場合は接触はしていてもバラつきがある事で接触不良の原因を作ります。

もし正しくかしめたい場合は、②手前を被膜に。①奥側を銅線に合わせた上でかしめるのが正確です。
かしめる場合は奥までしっかりと
3つ目はかしめる場合。これもまた多いのですが、2つの基準をクリアしていても最後のかしめがあまい為に失敗するケースがあります。
この図が成り立つので、接触不良はもちろんの事。最悪の場合は、抜けた配線が例えばボディーアースと接触した日にはショート又は火災の原因を作ります。
便利な道具でも使い方を間違えれば大惨事になるので、正しく使って大いに作業に活用してください。
防水ギボシ端子が使えるとこんな時に便利
最後は防水ギボシ端子のベストな使い方について。防水ギボシは以下の使い方をすると作業に役立てる事ができます。
・接続コネクター3328と組み合わせて細線と分岐
電装品の電源確保や濡れやすい場面
まず基本的な使い方としては電装品の電源確保。ギボシ端子はオスとメスをつなげて電気の伝達ができるので、配線同士をつなぐ場合の電源確保に最適です。
それに加えて防水仕様になるので、
雨に濡れやすい車外でも安心して使えます。
接続コネクター3328と組み合わせると細線と分岐する事も可能
また、接続コネクター3328と組み合わせる事で細線と分岐する事にも使えます。
防水ギボシ端子と言えば、ギボシ端子のように補助パーツで使える物。ですが、防水ギボシ端子の対応サイズは0.5sq~なので基本的に細線には使うことができません。
かと言って、無理に使えばギボシ端子が抜けやすくなったり、過電流で配線が燃える危険性もあります。
そこで役立つのが接続コネクターとの組み合わせです。ギボシ端子は0.5sq~接続コネクターは0.2sq~なので、電源側を0.5のギボシ端子に。電装品側を0.2の接続コネクターにすることで失敗なくつなげることが出来ます。
※実例を使った作業方法については【車の配線を0.2⇒0.5Sqに変換して電装品を作動させる配線のつなぎ方】で紹介しているので合わせて読んでみてください。

正しいかしめ方を理解して電装部品を取り付けよう!
以上、防水ギボシ端子のかしめ方を解説しました。
今回の記事のおさらいです。
注意点②かしめる際は銅線が端子部分に接触するように
注意点③かしめる場合は奥までしっかりと
配線コードを穴で挟んで、被覆だけ引っこ抜く
端子をかしめる
スリーブを差し込む
スリーブをかぶせて完成
接続コネクターを活用すれば細線と太線でもつなぐ事ができる
基本的な性能としてはギボシ端子と同じですが、
それに加えて防水仕様になる事が特徴です。
特に水が浸入しやすいエンジンルームでは漏電を防ぐ結果となるのでトラブルを回避できます。
なので今回の記事を参考に、正しいかしめ方と
つなぎ方を理解して作業に役立ててみてください。
よくある質問
Q.防水ギボシ端子は完全防水ですか?
A.はい、基本的には完全防水ができますが、間違った使い方をすると防水になりません。詳しくは【防水ギボシ端子なのに水が浸入する理由と浸入を防ぐ正しいつなぎ方】を参考に。
Q.電工ペンチがない場合は他の工具でもいいですか?
A. いいえ、電工ペンチは専用工具なのでそれ以外はおすすめしません。詳しくは【端子のかしめに適当な工具はダメ”電工ペンチが最適な2つの理由と正しいかしめ方”】を参考に。